2017/06/25

隠居



前回、天野祐吉のことを書いた。もう4年前に他界しているが、ブログをまだ残してくれているのを発見して驚いたというか嬉しかった。


長く雑誌「広告批評」をやっていたが切り口が独特で、淡々飄々とした語り口のなかに世の中の実相ををえぐりとる鋭さがあった。テレビでも、国内外のキラリと光る良質なCMをランキングで紹介する番組なんてのをやっていてえらくおもしろかった。それに晩年は「隠居大学」なる半分ふざけ半分まじめのセッションを開講しちゃったりして、おもしろそうなゲストを呼んで軽妙洒脱なトーク、これはラジオでも放送されていたからワクワク聴いていた。


そのあと、こんな人がもうすっかりいなくなってしまったからなんだか寂しく思っていた。そして、気づけばこの数年で世の中の広告CMのほうも、シャカシャカギャアギャア競ってわめきたてるばかりの惨憺たる状況になっている。あまりに独りよがりで一方的暴力的、うるさ過ぎなのでCMになると消音にして見ないようにしている。


もしこの人が今も生きていたなら、この体たらくに果たして一体どんな発言をしていただろうと、そんなことを考えているのだから、もしかするとどこかで自分にとっては心の師ということになっているのかもしれない。


思えば、年上にはこうして世の中を俯瞰してうまく距離をとりながら、決して力むでもなく自由気ままに生きた個性的な人たちがずいぶんいた。そう考えると、どうやら年下の自分たちにしたってもっと羽根を伸ばして自由闊達に生きていったほうがよさそうな気がしてくる。自分ももうこの時代には難しいのかもしれないが、できるものならいずれこんなご隠居さんみたいになれればなあ、などと秘かに思っているところがある(←秘かでないべそれ!)


◾天野祐吉 wikipedia
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E9%87%8E%E7%A5%90%E5%90%89


隠居



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2017/06/24

方言



前回の「いいふりこぎ」という素晴らしい北海道弁、そのあといろいろ調べてたらこんなのが見つかった。


秋田の「えふりこぎ」。北海道には秋田の人も多く流れてきてるから、もしかするとこれが源になってるのかもしれない。


◾「秋田の【えふりこき】」天野祐吉のあんころじい
http://amano.blog.so-net.ne.jp/2007-09-23



もう10年も前の記事だが、ここで天野祐吉も書いているように、「方言」はその地方地方の自然や生活風土のなかから生み出されてきた、奥の深い独特のニュアンスを持った表現。


が、交通とメディアの発達によって言葉が単純化・画一化されるなか、悲しいかな、この多彩で豊かなお国言葉がどんどん失われていってる。


微妙で複雑な心のアヤを繊細にピッタリ言い表すことのできる「方言」、これはやっぱりこれからも代々使われて、ずっと大事に受け継いでいってもらわなければなとあらためて思うのだった。


…………………………


もちろん、この時代だから、違うお国どうしでコミュニケーションを成立させるためには、そういう場面では標準語も使えたほうがいい。とすれば、バイリンガルになればいいだけのことで、自分も若いときからそれでやってきた。東京に出てきた頃、宮崎、徳島、広島、大阪、……さまざまな人間と出くわして人種のるつぼ(笑)、それぞれのお国言葉を披瀝し合い楽しむ一方で、どうしてもという場面ではお互い標準語を使って会話した。


ただ、この標準語も身につけなければということと、そのことで勢いあまって自分のお国言葉を捨て去ってしまうということとは本来まったく別ごとのはず。そこまで自分というものを押し込める、いや圧し殺すなんて必要などまったくないのだが、悲しいかな往々にしてそういう人間も多かった。なぜだろう。


ちなみに、どちらかというと西日本の人間は自分たちのお国言葉をあまり隠さずに使っていた。それに比べてこれはよく言われることだが、東北・北海道はつとめて隠すそんな傾向が強かった。どうやらそこには土地への自信や誇りのようなものが背後にあるらしく、それがどこから来ているのだろうとずいぶん考えたのだが、ふとしたときにピンときた。長く西高東低でやってきたこの国の歴史がいまだに影を落としていたのだ。


…………………………


ただ、自分たちのお国言葉を恥ずかしいと思ってしまうようなそんな時代はとうに終わっている。そんなふうにまでして中央に媚びへつらう必要などもうまったくないのだ。


モノ・人・情報を一極集中、東京や大阪を中心に太平洋ベルト地帯にそれらを集めて効率的な工業生産、そして経済の高度成長を進める……栄華をきわめたそれも今は昔の終わった夢。今はもう交通インフラと情報インフラも整って、アイデア勝負ならどこてでもできる時代。年寄りはなかなか意識を変えられずにいるなかで、既に若い人たちはむしろ逆に、自然の豊かさだとか、居住の環境だとか、地域の伝統文化だとかそちらのほうに魅力を感じるようになっていてそうした動きが現実に始まっている。


いま叫ばれている「地方創生」にしても、一方でその「中央」が盛んに煽ってるのも変な話だとも思うが(ほんまかいな?……ここはなぜか関西弁(笑))、結局は「脱中央」、それを「地方」自身が怖れずにやっていけるかどうかが試されているというただそれだけのことなのだろう。そしてその一歩がどこから始まるかといえば、それはおそらくはまず「言葉」への自信回復から、単純にそういうことなのだろう。


方言

方言


方言



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2017/06/23

語感



前回使った「いいふりこぎ」という北海道弁

この言葉をもう少し掘り下げてみたくなった



◾まず【意味】

通訳するのに近いのはどれか?


「見栄っ張り」東京弁

ただ、これだと感情が隠れてなんだかお上品すぎる
吐き捨てるようなリアルなニュアンスは伝わらない
自分ならその場になったときに咄嗟には出てこない


「ええかっこしぃ」関西弁

これは近い。間髪いれず直接出てくるあたりも同じだ
この気質、北前船で繋がったのかと想像すると面白い

質実重視の庶民の生活感覚、そして健全な風刺の精神
大阪人はよく東京人を揶揄するときに使ったりもする



ということで「いいふりこぎ」

いいがおめ、すったら外(体裁)にかまけでばかりいだったらよ
肝心な内(中身)のほうがな、おろそがになってぐだげなんだで

これをたった一言に凝縮して戒める素晴らしい方言であった


…………………………


◾次は【イントネーション】

方言はイントネーションを違えると別物になるから要注意


で、どう言うかといえば

いぃふりこぎ
タン タカ タタ
➡️ ➡️ ➡️↗️


低くうごめいていって最後でキュッとピッチを上げる
この右肩上がりは東北以北に特有のイントネーション

地から這い上がってくるようなこの語感がたまらない
最後この感じを音楽にできたらと真面目に思っている


…………………………


というわけで

外から眺めることで気づく北海道弁の素晴らしさ…
髄に染み付いてるからかどんなに離れても消えない
よほど身のほどに合っているということなのだろう


では最後、皆さんで発音してみましょう、さんハイ!

いぃふりこぎ
タン タカ タタ
➡️ ➡️ ➡️↗️


ありがとうございました


語感



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2017/06/22

客観



キャリーバッグというのか
今ではあちこちで見かける

自分は長旅でもズタ袋1つ
なので手にしたことがない

楽そうでいいなとも思うが
だいたいその荷物がない(笑)


あとガタガタ音がするたび
何が入ってるのか気になる

ん?あれは
秘密書類を持って出張だな…

お!あれは
密輸の松茸を運ぶ裏取引か…

あ!あれは
激安スーパーで買った大根…


…………………………


というわけで
人を見送りにきた駅ホーム

階段で代わりに持ってやり
そのまま初めて引いてみた


すると後ろからパシャッ……
ひゃあなんだか恥ずかしい

フライト前の機長気取りも
あれ?ブローカーの逃亡!?


似合う似合わないの身の程

同じモノも人で違ってくる
外から眺めるとよくわかる


中身はうわべでは隠せない

やはりやめとけってことか
与太郎のいいふりこぎ(笑)


(注)「いいふりこぎ」は北海道弁
これについてはまたあらためて


客観



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2017/06/21

夏至



きょうは夏至。昼が一番長い日。


どれどれ、どんなに長いの?

調べてみた


【日の出】 4時25分
【日の入】19時00分

【昼の長さ】14時間半
【夜の長さ】 9時間半


おお、やっぱり断然昼が長い!

春分からの3ヶ月で2時間半も

塵も積もれば山となるのだなあ


以上



※これだとあんまりなのでオマケ

【日の出】いろいろ

札幌 3時55分
那覇 5時38分

その差、1時間43分!

あらためて日本は広いのだなあ


以上



※ちなみに

お陽さまはどこまで北に寄ったか
日の出の位置を確かめたかったが
あいにくの厚雲で撮れなかった…

現在、西から猛烈な雨雲が接近中


夏至



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2017/06/20

苗床



以前、庭の一角で畑をやってた
少量多品種、夏から秋には収穫

これでずいぶん家計も助かった
そして何より採りたてが美味い

子供のころのあの野菜本来の味
なんだか幸せにさせてもらった


今はすっかり土から離れている
団地なのですっかり諦めていた

しかしあの体験が忘れられない
近所の市民農園にも触発された

なんとかならないかと考えた末
可愛らしく栽培してみることに


…………………………


さっそく
種と土を百均で買う、200円!
そして
苗床は玉子空きパック、タダ(笑)
あとは
水をやり窓際で陽に当てるだけ



すると
おっと芽を出してきたエラい!

丸い葉っぱ、これは「シソ」
細い葉っぱ、これは「パセリ」

なんだかちっちゃくて可愛い
パンダの赤ちゃんみたいだ!


苗床


…………………………


こっちは何にもしていないのに
ほんとたくましいな命の不思議

植物は動物と違って動きがない
どこかで見下すところがあった

今はもうそんなことは思わない
グイグイと勢いが聴こえてくる


おがったら(大きく成長したら)
有り難くいただくことにしよう

これで夏バテも乗り切れそうだ
いざという時も生きてけそうだ

その前に観察日記をつけようか

なんだろう、ワクワクしてくる
子供返りってのはほんとらしい


苗床



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2017/06/19

比較



あちこち保育園に出くわすが
園庭をもたないところは多い

昔は考えられなかったことも
今では当たり前になってきた


その場合どうするかといえば
近くの公園を代用するらしい



今朝もそんな場面に遭遇した


移動風景はカルガモの親子だ

キャアキャア無垢で可愛い!


気づけば孫を見る爺や気分(笑)

それもこれも汚れたからか……

今さらどうする!


と思いきや、よく見たら裸足!

おっとワイルドだ!負けた……

比べてどうする!


比較



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2017/06/18

今昔



東京に出た学生時代は四畳半1万5千円の木賃アパート

2階建ての廊下両側に20部屋ほどが巣箱のように並ぶ
過密な東京、これが江戸から続く姿なのかと最初驚いた

熊さん八つぁん、実にさまざまな人たちが肩寄せ集まる
みな地方から出てきた人たちでいろんな訛りが飛び交う

嫌でも出くわすから今と違って少しは互いを知っていた


理工系大学院生
夜行虫のホスト
永田町秘書の卵
水戸出身のOL
山形出身の熟女
愚連隊青年予備軍
新進の公認会計士
ロックギタリスト
身寄りのない老婆

出でたちにしても言葉にしても、ほんと人種のるつぼ(笑)
狭いなかにそんな人たちがぎっしり詰まって暮らしてた


…………………………


そして、居住環境は今では考えられないほどに酷かった


まったく陽が入らない。玄関、便所、電話……すべて共同

換気扇のない台所、廊下は匂いと煙でプライバシーなし

エアコンも扇風機もない。パンツ一丁汗ふきふき暮らす

途中から同棲を始めるようになったが、相手はゴキブリ

部屋にあるのは、布団、机、本棚、冷蔵庫、ラジオだけ



ただ、当時の東京のアパート暮らしはこれが普通だった
池袋サンシャインの麓で真っ暗三畳間に住む友人もいた

それに比べたらいまの学生さんたちの部屋は夢のようだ


…………………………


松本零士の漫画「男おいどん」みたいな生活であったが
ただ初めてマイテレビをもった。14インチの質流れ品
バイトして初めて自力で買った物だから光り輝いていた


今ならテレビは別にないならないでやっていけそうだが
このころはまだ面白いドラマがけっこうたくさんあった

「太陽に吠えろ」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」……

そしてこのドラマも再放送だがやっていた。昭和49年
星野ドラゴンズが巨人V10を阻み長島が引退した年だ


今昔


「パパと呼ばないで」


なんとあれからもう43年!ちー坊も大きくなるはずだ(笑)
お茶目がうまかった右京役の石立鉄男も今はもういない

下町を舞台にした人情ドラマ、脇役もみんなうまかった
大坂志朗、三崎千恵子、松尾嘉代、花沢徳衛、冨士真奈美……


…………………………


当時の行動範囲は新宿中心だから下町には縁がなかった
錦糸町にも友人がいたがえらく遠く感じて行かなかった


ところでこのドラマはどこで撮ったのだろう調べてみた


2人が間借りしていた米屋はどうやら佃にあったらしい
佃といえばあの豊洲の近くだ、臨海部は再開発ラッシュ

近くの月島には一度行ってるが、もんじゃを食べただけ
この時にはまだ路地裏に入れば懐かしい佇まいがあった

ただ、高層マンションのブームはそのあとになってから
今もあの風情は残ってるか、今度行ってのぞいてみよう


今昔



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2017/06/17

呼吸



久しぶり通りかかったら
青々と実っててびっくり


農園



南が公園で陽当たり抜群
ぐんぐん成長するわけだ


これは胡瓜か美味そうだ
食べてみたいが我慢する


農園



蝶々もあちこち舞ってる
ヒラヒラ気持ち良さそう

こっちも負けじと深呼吸
スーハー、ああ生き返る


駅5分の場所でこの環境
この時代に有難いものだ

見るだけで元気もらえる
そんな市民農園の早い朝


農園



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2017/06/16

人形



京橋のフィルムセンターまで行って映画をみる

1ヶ月にわたってやってるEUフィルムディズ


人形



この日はチェコ制作の人形劇映画「リトルマン」
アニメではなく実写だから手作り感が半端でない

チェコの人形劇は何本かみているがおもしろい
深く民衆に根づいていて専門学校もあるらしい


この日はチェコ大使も来て上映前に日本語で挨拶が

歴史が長くて世界文化遺産にも登録されたとのこと
来月には大使館内で無料公開イベントをやるという
その伝統文化をぜひ見てほしいとの言葉に会場拍手


映画が始まるや、ほどなくグイグイと引き込まれた
探しものの旅に出る冒険活劇といったストーリーだ

生きていくうえでほんとに大切なものはなんだろう
真面目ななかにユーモアもたっぷりで時間を忘れる

なぜかふと、ひょっこりひょうたん島を思い出した


…………………………


終わってロビーをみるとこんな地図が掲示されてた
そうかこれがいま大混乱のEUか………今一度お勉強


人形



階段を降りると今度は一転、壁には古い日本映画だ


人形


…………………………


フィルムセンターは国立近代美術館に設けられた組織
国内の古い映像の保存を中心に相変わらず頑張ってる

上映だけでなく展示や講演、映像にかかわるなんでも
次々とさまざまな企画を打ってくれたりして精力的だ


こうして海外の映像文化もいろいろと紹介してくれる
ほかでは見られない映画を上映してくれるのが有難い
300の座席は毎日ほぼ満員。料金520円も嬉しい


人形

人形



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