2017/05/26

不変


(前回からつづく)


……そうしてみると、とりわけ欲望ウズ巻くこの大都会というものは何もかもが変貌、目先を追いかけて常に「変わるもの」ばかりで、その流れに軽やかについていかないことにはやっていけない、どうやらそういうふうにできているらしい。

そんななかでも、さて「変わらぬもの」なんてのは果たしてほんとにどこにも残っちゃいないのか……当時からいつも下駄履きで通っていて、まだ頑張って続けてくれている名画座「早稲田松竹」、そこにこれから行ってじっくりぼんやり確かめてみようと思う。


…………………………


ということで行ってきた。

そして「変わらぬもの」はあった!音楽だ。

人間にとって切っても切れないもの。どんなに歴史が移ろおうが微動だにしない普遍的なもの。


そしてそのせいなのかもしれないが、音楽とはやはりここまでストイックなものだったかとあらためて考えさせられた。怖ろしいまでに嘘も言い訳も通用しない、人の何もかもを容赦なく映し出してしまう鏡。


その揺らぎのないシンプルさゆえか、そのためには引き戻されても引き戻されても、そのたびほかは投げ打ってでもと思えてしまうような、それほどまでに不思議な力を秘めている音楽というもの。


そうであればこそ、どうやら音楽をすることとそれ以外の生活を送ることとは不可分、その両方を小器用に場面ごとに使い分けて別の人間をやるなんてことはできようはずのない代物らしい。


そして、果たしてそこまで真っしぐら引き寄せられていくのか、危なさを感じてそこから身を引いていくのか、はたまた、知ってか知らずかその手前で踏みとどまって楽しんじゃうのか、そしてまた生業としてやるのか生業からは離れてやるのか、関わりかたも人それぞれになってるからややこしい。


この辺はジャンルも何も変わりがないということで、ひとつはクラシック、もうひとつはジャズ、こっそり巧みに組み合わせて提示してくれたこの映画2本立て。ついでに言えばこれで1300円(シニア900円)なのだからこれもあっぱれ!(笑)


…………………………


昔からのスタイルを今も貫くこの映画館らしい映画館、相変わらずいわゆる今風な鼻につくようなお仕着せがましさもなければ、人の眼を気にした上から目線のおしゃれ気取りもまったくなし。

そこに、朝っぱらからどこから集まってくるのか大勢の老若男女さまざまな人でいっぱいになる。そして、さあ勝手気ままに観てちょうだいなと自由な空気で包んでくれる。1本ずつゆっくり味わいたいのであれば、外の喫茶店にでも行って一旦休憩でもしてきてくださいねと言う。


帰りがけに週がわりの上映作品をのぞいてみた。どれをとっても裏方職人のようにひっそりとだが意欲的なラインナップ、なるほどと唸ってしまった。来月にはゴダールがある。また来よう。おっと、その前に練習だ……


不変


不変



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2017/05/25

変貌



きょうは朝からじとじと梅雨のような雨だが、映画を観ようと家を6時半に出て高田馬場までやって来た。ラッシュをはずそうと思って早出したのだが、それでもずっと立ちっぱなし、通勤通学の人たちは毎日がこれなのだから本当に頭が下がる。エラい!

さて、7時過ぎに着いたものの映画は10時半から(笑)……時間がありすぎるので、むかし住んでいたアパートのあたりをまずはぶらついてみることにした。


すると、店という店、住宅という住宅、ほとんどが変わっていて面影はせいぜい細い路地の形だけ。それでもたまにポツンと木造モルタルの家がそのままで残ってるのを見つけたりすると、当時のことがありありと蘇ってきた。

あと、建ったばかりだったピカピカ幼稚園がずいぶんオンボロになっている。ここにはピアノを貸してくれないかとかけ合って、どこの馬の骨かとあっさり断られた甘酸っぱい思い出がある(笑)

あと残っていたのは居酒屋「いこい」とキッチン「たにさわ」、頑張ってるなあ、思わず看板に頬ずりしてみる。


…………………………


これは誰もがそうなのかもしれないが、若き日の想い出というのはそのまんまの姿で青春グラフィティとなって心の奥にいつまでも残っているものだ。そして、ふとした時にいつも引っ張り出せるようになぜか総天然色でしっかりと保存されている。


そのせいもあるのか、どんなに時が経ってもついちょっと前のことのように錯覚してしまうところがある。そこのところはまこと不思議なのだが、冷静になって指折り数えてみるとなんとそれが40年も前のことだったりするからハッと気づかされて溜め息をついてしまう。


…………………………


今、この喫茶店の窓から早稲田通りを眺めていても、並んでいる店は当時とはまったく変貌している。


「TSUTAYA」「DOCOMO」……このビルは今はなき太陽神戸銀行だった。当時はATMというものが颯爽と登場したころで、キャッシュカードをどう使うかでみんなで大騒ぎしていた(笑)

その右横のビル、よく見ると「すた丼」「サイゼリア」「成城石井」……この並びには、中古レコード屋、洋品店、クリーニング屋、くだもの屋、喫茶店、そしてよく通った原田湯という銭湯があった。その裏にはビニール入り風俗図書で有名だった◯◯企画、いつも玄関先で発送梱包作業をやっていてこぼれるのがないか横目で見ていた(笑)

この喫茶店だってそうだ。この場所はいつも栄養失調になりそうな時に命をつないでくれた定食屋だった。こっちがあまりに激ヤセしてるのを見ておばちゃんが卵をサービスしてくれた。


…………………………


こうしてみると、いま看板を掲げている業態自体がすべて当時はまったくなかった。ファミレスも貸しレコードもポツポツ出始めてきたのは70年代の最後のあたりだし、携帯に至っては90年代になってからだ。

かように、こうしてたまにぼんやり街を眺めながら耳を澄ましてみると、その間の世の移ろいというものがその只中にいると少しずつ少しずつで気づきにくいのだが、実はドバーっと一気に音をたてて流れていたのがやっと聴こえてくる。


そうしてみると、このとりわけ大都会というものは何もかもが変貌、常に「変わるもの」ばかりで、その流れに軽やかについていかないことにはやっていけない、どうやらそういうふうにできているらしい。

そんななかでも、さて「変わらぬもの」なんてのは果たしてほんとにないのか。当時からいつも下駄履きで通っていて、まだ頑張って続けてくれている名画座「早稲田松竹」、そこにこれから行ってじっくりぼんやり確かめてみようと思う。


変貌



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2017/05/23

帳面



自分たちが小学校に入ったころ
ノートはまだ帳面と言っていた

ふと蘇ってきたこそばゆい記憶
すっかり忘れてた自分にも驚く


ピカピカ帳面はまだまだ貴重品

勿体ないからと隅っこまで書く
使いきるまでは買ってくれない

漢字練習はまず新聞紙に下書き
帳面にはそのうえでやっと書く

ちょうど高度成長が始まる頃で
まだムダ使いは悪とされていた


…………………………


とにかく何でも長く大事に使う

空き箱、空き缶、包装紙ですら
捨てずに知恵をしぼって再利用

漫画の本にも知恵が紹介される
面白がっていろいろ作ってみる

図工の授業もそんな材料を持参
それぞれの家の暮らしが丸見え


…………………………


これが大人だともっと凄かった

急にブレーカーがショートする
荷札の針金を使って応急処置だ

家の外壁がいよいよ朽ち果てる
どこからか持ってきた板で修理

今のように金で業者に頼まない
まず業者がそんなにいなかった


…………………………


そうやって自分でなんとかする
想像力と実行力とが尊敬された

戦争帰りが多かったからなのか
強者ぞろい近所のおっさんたち

誰も裕福な人などいなかったが
そのせいでか人が大きく見えた

金が評価のすべてでもないから
豊かな時代だったかもしれない


…………………………


それが変わるのは昭和40年頃
プラスチック製品が出はじめる

鉛筆も筆入れも、鞄も靴も服も
何でも化学製品に代わっていく

大量生産大量消費、使い捨て……

職人や個人自営が追いやられる
1つまた1つ通りの店が閉まる

巷から知恵とか手作業が消えた

臨海部に石油化学コンビナート
製品も公害も垂れ流しが始まる


…………………………


そんなことがグルグルめぐって

なぜ急に思い出したかといえば
それは、これをいただいたから


世のなかは稀勢の里フィーバー
売れに売れ業者は増刷また増刷

空前の相撲人気でグッズ売切れ
チケットも即完売でとれない……


…………………………


マスコミの過熱報道がまた凄い!

「新横綱、史上初3連覇なるか」

怪我で本人すら考えてないのに
応援してる人たちも冷静なのに
そんなの関係ねえと騒ぎたがる

あまりにもせっかち&煽り過ぎ
開票速報と同じで時を待てない


…………………………


少しゆったり見てあげましょう
大人になって落ち着きましょう

でなきゃ稀勢の里、潰れますよ


……いや、もしや時代が違うか?

早く潰しちまえってことか……!?


スピード消費&使い捨ての時代

持ち上げてはすぐ足を引っ張る
で、また次のターゲットを探す

芸能人、政治家、電気製品、……
何でもとにかく短命にしたがる


ならばなおさら、この帳面……

奇しくも「日本の伝統文化シリーズ」

たとえこの人が引退してしまっても
長く大事に使わせてもらいましょう


帳面



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2017/05/22

転用



道すがらいつも癒しをもらっていたこの畑

このところ作付けされてないなと思ったら
やっぱりか……悪い予感が当たってしまった


「生き生き緑」から「ザラザラ灰色」へ
1週間足らずの工事で姿はすっかり変貌


…………………………


農業の緑を都市の緑に見たてる「生産緑地」
営農を支援する都市計画の志も露と消え…

駅3分の場所だから、まあしかたがないか
あれこれ地主さんにも事情があるんだろう
需要を見込む駐輪場業者に手放したらしい


頭と胃袋の両立、言うは易しで現実は難しい
もし自分に買い取って保全する資力が……(笑)

利便性、地価、税負担、収益性、土地市場……
都市の論理はやっぱりいつもドライで冷徹だ


転用

転用



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2017/05/21

#♭



熱波、11時で30度を超える

熱中症どころかこれは夢遊病#


………池の鯉、いいな羨ましいな


「ん?こっち来たら?」

「え!?………………」


よし、したっけ!………ドボン♭


#♭



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熱波



この時間で夏日突入!?変だな日本列島

あちこちの小学校で運動会らしい……


熱波



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2017/05/20

早起



ぽつねんと なにをおもうか 早起きカラス


早起



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2017/05/19

分限



北海道は花が一斉に咲く

閉ざされた冬が長いから
解放感は例えようがない


ただそのせいか開花時期
順番はさほど意識しない


…………………………


道外はそれとすこし違う
はっきりズレながら咲く

ウメ→サクラ→ハナミズキ
→ツツジ→バラ→……

年明けから1つまた1つ
やはり気候のせいなのか


次から次と咲いては散る
個性を最大限に響かせる

自分の持ち場をまっとう
違う花へとバトンを渡す


…………………………


競って争うわけでもなく
混成チームで息ぴったり

誰が決めたでもない順番
毎年みなきっちりと守る

短い命をリレーでつなぐ


分限



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2017/05/18

神髄



朝早く歩いてたら見つけたこれ

葉っぱさんの上にコロコロ朝露


落ちそうで落ちない、しぶとい!
角がなくてまんまる、めんこい!

というわけで
見てるうち離れられなくなった


…………………………


これはたしか表面張力だったか


ここまでジッと見るのは初めて
教わったのは「とにかく覚えろ」

力学の説明も屁理屈に聞こえた
が、まだ覚えることはたくさん

そんなわけで
確証もないままに丸暗記コピー
結局は、ただ○をもらっただけ


でも
分かってないよなほんとのとこ
この深いミステリアスさまでは

後付け解釈より誰が設計したか


そうか
まあまず人並みに世間を渡って
そこんところは老後ゆっくりと
そういうことだったんだな……


…………………………


ということで
今さらだが顔を突っ込んでみる

通勤の人たち
こいつ何やってんだろうと一瞥

何するものぞ
人目を気にせず暫しジッと観察


でもやっぱり
不思議だ、わからんどうしてだ…

よし!

夏休みになったら
ラジオ子供相談室に電話しよう


すると足元にネコ
それがいいニャ~♪背中を押す


神髄



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2017/05/17

不協



不協


/p>

これはもう2週間前のツツジ


道すがら目に飛び込んできて
あまりに見事で立ちすくんだ

が、なんだろう一方で違和感
ずっと引っかかったまま今に


それがやっと少し見えてきた

なんでも人工的に過ぎるもの
腰が引けてウンザリするのだ


一面のラベンダー、芝桜、……
イルミネーション、CG、……

これも人集めの魂胆が透けて
妙に品のなさを感じてしまう


折しもこんな記事を見つけた
言葉を失う。これも同じこと

単なる好みの問題とも思ったが
世のなかここまできてしまうと
はたしてほんとにそれだけか…


◾地方自治体の「おもしろ動画」がもはや笑えないワケ
http://sp.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170406-OYT8T50031.html


…………………………


大群舞のマスゲーム
一瞬、目を引く

ただ
一糸乱れぬ統率で
自分を誇示&威圧


一過性のサプライズ
一瞬、目が眩む

ただ
まわりを消し去り
主役も押し退ける


…………………………


自分が自分がのナルシズム
内へ内へがじきに外へ外へ

TV、広告、SNS、ミサイル、選挙……
目立ちたがりのド派手競争

気を引きさえすれば勝ちさ
こっち向いてねの甘えん坊

大事な中身はそっちのけで
どこまでも際限なしの暴走


…………………………


そんな凄まなくてもいいのに
力んだってしょうもないのに

と思うが確かにこれが難しい
独りだけ埋もれるかも恐怖症

裏にある不安、嫉妬、弱虫…
打ち消そうと周囲を蹴落とす


…………………………


自然界の生存競争&弱肉強食も
人どうしでやったらどうなるか

みんなが独占欲に向かえば
すべて失って元も子もない


誰かが尖っていられるのも
許容する周辺があっての話

協調の土台が崩れれば
競争すら成り立たない

目先はよくても
長くは続かない


やっぱり基本はハーモニー♪

こざかしいリズムに押されて
いつしか忘れ去られていたが
もう一度、思い出してみたい

色も、音も、人も、国も、街も




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